不動産問題

  • cat4

    2015.04.15

    サブリースについても、賃料増減額請求権を行使することができますか?

    はい。行使することができます。

     

    かつてサブリース契約については、事業契約であって賃貸借契約ではないから、借地借家法第32条(賃料増減請求権)は適用されないなどと主張され、争われていましたが、最高裁平成15年10月21日判決(判例時報1844号50頁)が、その合意の内容は、賃貸部分を収益させ、その対価として賃料を支払うというものであり、賃貸借契約であることが明らかであるから、同条が適用されると判示し、一定の結論が出ています。

     

    ところで、サブリースでは、賃料自動増額特約(賃料について、×年ごとに、□%値上げするという特約)や、最低賃料保証特約が入っていることが多く、これら特約は賃料を減額しない旨の約束を含むと解されますが、これら特約が入っている場合にも、賃料減額請求権を行使することはできるのでしょうか。

     

    借地借家法第32条1項但し書きには、「一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」と定められており、一定期間増額しない旨の特約は有効ですが、これとは反対に、一定期間減額しない旨の特約があっても、減額請求ができると解されます。

     

    判例も、借地借家法第32条1項の規定は強行法規であり、賃料自動増額特約や、最低賃料保証特約によってもその適用を排除することができない旨判示しています(上記最高裁判例、最高裁平成15年10月23日判決等)。

     

    霞ヶ関パートナーズ法律事務所
    弁護士  伊 澤 大 輔
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    2015.04.14

    自ら裁判所に出頭したときに気をつけるべきこと

    霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

     

    今日は、弁護士に依頼せずに、自ら裁判に出頭したときに、初めてでわからず、戸惑われることもあるでしょうから、気をつけるべきことについて、いくつかご説明させていただきます。

     

    ①裁判所入口でのボディーチェック

    霞が関にある東京地方裁判所及び東京家庭裁判所では、一般の方は、空港と同様、金属探知機によるボディーチェックや手荷物検査があります。10時前後や13時前後は裁判が集中し、裁判所入口で行列をなし、混雑をしている場合がありますので、早めに(裁判の15分くらい)に行った方がいいでしょう。

     

    ②出頭カードへの署名

    指定された法廷に行くと、法廷の柵内にある机の上に、出頭カードが置かれていますので、自分の事件の出頭カードに署名をして下さい(既に名前が印字されている場合には、それを丸で囲むだけでも構いません)。

    ちなみに、証人尋問ではない限り、印鑑を持参する必要はありません。

    通常は、同じ日時に複数の裁判が入っていることが多く、当事者双方がそろった事件から順番に裁判が始まりますので、その後は、名前を呼ばれるまで、傍聴席に座って待っていれば結構です。

     

    ③座る場所

    事件番号や名前を呼ばれたら、法廷の柵の内に入っていきますが、座る場所は、裁判官を正面に見て、原告(訴えた人)は左側、被告(訴えられた人)の場合は右側になります。

     

    ④訴状及び答弁書の陳述

    第一回の裁判(口頭弁論)では、初めに訴状及び答弁書の陳述がなされますが、「陳述」と言っても、一言一句口頭で読み上げるわけではありません。裁判官から、自ら提出した訴状(あるいは答弁書)について、「陳述しますね。」と聞かれたら、「はい。」と答えて頂ければ結構です。

     

    ⑤書証原本の取調

    予め、裁判所等には、書証の写し(コピー)を提出しておき、その原本(実際に、印鑑が押されている書類等)の取調は裁判当日に行われます。相手方が提出した書証の原本について、まず裁判官が確認した後、あなたに手渡されますで、真正に作成されたものか確認して下さい。特に確認する必要がない場合には、その旨を言えば、書記官がそのまま持っていきます。

    同様に、あなたが提出した書証の原本も取り調べられますので、裁判当日に持参するようにして下さい。

     

    ⑥裁判官等からの質問

    あなたの提出した書面に不明な点があった場合、裁判官や相手方から質問を受ける場合があります。また、裁判官から、今後の主張・立証方針、その準備に必要な期間について聞かれることもありますし、書証の内容等からして争う余地が少ないような場合、早々と和解に応じるか否か、その条件等について聞かれることがあります。裁判当日に、いきなり聞かれて、まごまごしないように、今後どのように裁判の準備や、和解に向けた話を進めていくか予め考えておいて下さい。

     

    ⑦次回日時の調整

    一般的に、裁判自体は、数分から10分程度で終わり、最後に、次回日時の調整をすることになります。通常は、1ヶ月くらい先の期日になります。裁判官から次回日時の提案がありますので、都合が悪い日については、遠慮なくその旨を申し出て調整して下さい。但し、「その1〜2週間は海外に行っていて、日本にはいない。」といったことならその前後で日時を調整してくれるでしょうが、「平日は仕事があって、ずっと都合が悪い」といったわがままは通りません。

    次回日時が決まったら、それでその日の裁判期日は終わりですので、そのまま帰っていただいて構いません。

     

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    弁護士伊澤大輔
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    東京都千代田区霞ヶ関3-2-6 東京倶楽部ビルディング9F

    東京地下鉄銀座線 『虎ノ門駅』11番出口より徒歩約3分
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    2015.04.10

    サブリースについて、賃貸人から、期間満了を理由に契約を終了させることができますか?

    サブリース契約にも、借地借家法の適用があり、賃貸人が契約の更新を拒絶するには、同法第28条に定めれた正当事由が必要になります。

     

    まずサブリース契約に借地借家法の適用があるか問題になります。サブリース契約は、実質的には業務委託契約であるから借地借家法の適用がないとして、争われることがありますが、最高裁平成15年10月21日判決(判例時報1844号37頁)によって、サブリース契約についても、借地借家法32条1項(賃料増減額請求権に関する規定)が適用があるとされ、この問題について、一応の決着がつきました。

     

    また、東京地裁平成24年1月20日判決(判例時報2153号49頁)も、サブリース契約について、建物部分を賃貸し、その対価として賃料を支払うというものであり、建物の賃貸借契約であることが明らかであるから、旧借家法1条の2の適用があり、契約の更新を拒絶するには、正当事由が必要であると判示しています。

     

    正当事由の有無は、具体的には、当事者双方の建物を使用する必要性の有無、程度に関する事情を最も重要な要素とし、これに加え、賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、契約期間中の賃借人の不信行為、立退料の申出などを従たる要素として考慮して判断されます。サブリース契約の場合も、例外ではありません。

     

    そして、上記東京地裁判決は、原告(賃貸人)が、当該建物部分を使用する必要性として、自助努力によって収益を得る必要性があると主張したことに対し、その必要性とは、賃借人である被告を排除して、自ら直接の賃貸人となること等によって、自らがより高額の賃料を得たいというものであるところ、被告に対し賃料増額請求権の行使をすることによって相当な額に変更することが可能であること等から、被告に比して、原告において当該建物部分を使用する必要性は低いと判示しています。

     

    また、上記東京地裁判決は、原告が、自らが本社として当該建物を使用する必要性があると主張したのに対し、従前の協議や、訴訟前の調停及び訴状において、そのような主張をしていなかったこと、原告は当該建物のうち空いている部分を本社として使用していなかったこと、原告の現在の本社は原告の関連会社が所有している物件であることを認定し、原告において当該建物を本社として使用する必要性は低いと判示しています。

     

    他方、上記東京地裁判決は、被告の当該建物部分を使用する必要性を判断する場合、原則として、転貸してこれを転借人が使用する必要性があることもその考慮に含めてよいものと解されるところ、転借人が当該建物部分を使用する必要性があることは明らかである上、被告は、この転貸によって転貸料等の収入を得ており、また、建物の転貸条件付一括借上による賃貸業務等を目的とする被告にとって建物賃借権が存在することは事業上重要な部分を占めているものであり、被告において、転借人の利益又は自らの利益のいずれの面からも、当該建物部分を使用する必要性があるものといえると判示しています。

     

    こうして、上記東京地裁判決は、原告の更新拒絶には正当事由がないとして、原告の明け渡し請求を棄却しました。

     

    霞ヶ関パートナーズ法律事務所
    弁護士  伊 澤 大 輔
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    2015.04.09

    財務省のウコンザクラ

    霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

     

    ソメイヨシノはすっかり葉桜になってしまいましたが、毎年それと入れ替わるように、ウコンザクラが見頃の時期を迎えます。

    財務省のウコンザクラ

     

    写真は、当事務所近くの財務省の庭に咲くウコンザクラです。

    ソメイヨシノが淡いピンク色であるのに対し、ウコンザクラの花弁は薄緑色で、風格のある大輪の八重咲きです。

    私は、毎年、このウコンザクラを楽しみにしています。

     

    名前は、ショウガ科のウコンの根を染料に用いた鬱金(ウコン)色に由来するとか。

     

    この時期だけですので、お近くにお立ち寄りの際は、是非、ご覧になって下さい。

     

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    2015.04.08

    よくある質問⑧ 委任した後も、裁判に毎回出席する必要がありますか?

    いいえ。裁判には、毎回、私が代理人として出席しますので、依頼者の方に出席頂く必要はありません。

     

    裁判期日の内容・結果については、私から、毎回、訴訟経過報告書により、ご報告させていただきます。

     

    但し、裁判も終盤に差し掛かり、和解についての話が重要な局面を迎えたため、依頼者の方にも同席の上、直接判断頂きたい場合や、法廷で証言いただく場合には、出席をお願いすることがあります。

     

    また、任意に傍聴されるのは、もちろん自由です。

     

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    2015.04.08

    まずは交渉するか、すぐに訴訟提起するか?

    霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

     

    テーマに対する回答ですが、もちろん事案ごとに個別の判断になりますし、弁護士によって考え方が異なるかもしれませんが、私は、基本的に、「まずは交渉する」ことをお勧めしています。理由は以下の通りです。

     

    ① 訴訟→判決では、法的根拠があること(要件を満たすこと)を立証できなければ、勝てないが、交渉では、法的根拠の有無、立証の可否にかかわらず、相手方と合意さえできればよいこと。

    ② 訴訟→判決では、法で定められた効果しか認められないし、その実現には強制執行など一つ一つ法的手続きをとっていく必要があるが、交渉では、相手方と合意さえできれば、柔軟な解決や、簡便な結果の実現が可能であること。

    ③ 訴訟では、解決までに、どうしても数ヶ月から年単位の時間がかかってしまうが、交渉では、それよりも早期に解決できる可能性があること。

    ④ 訴訟→判決よりも、交渉の方が、相手方との間にしこりを残さず、円満な解決が可能であること。

    ⑤ 交渉の方が弁護士費用が安く済むこと(一般的に、訴訟の場合の3分の2くらいでしょう)。

    ⑥ とりあえず交渉してみて、相手方の意向を確認し、合意に至る目途が立たない場合には、その後、速やかに訴訟提起すればよいこと。

     

    もちろん、交渉では、最終的に、相手方の合意が得られなければ解決できませんし、それを強制することはできませんので、交渉するだけ時間・労力の無駄ということはあります。ですから、根本的に、事実関係や法的解釈に争いがあったり、相手方の性格等から、交渉をしても合意に至る可能性が低いと考えられる場合には、すぐに訴訟提起した方がよいかもしれません。

     

    また、既に何度も督促しているが、お金を払ってこないような人に対しては、さらに交渉するだけ時間の無駄と考えられますので、速やかに訴訟提起した方がよいでしょう。

     

    それから、債権回収事案で、財産を隠匿されるおそれがある場合には、まずは秘密裏に財産の仮差押えをした上で、交渉ないし訴訟提起すべき場合もあります。

     

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    2015.04.06

    合意書等における「限り」の意味

    霞が関パートナーズ法律事務所の弁護士伊澤大輔です。

     

    示談書や合意書、契約書、和解調書等において、よく「平成27年4月15日限り、金××円を支払う。」といった条項が出てきます。ここでいう「限り」とは、「〜までに」という意味で、支払期限を意味します。

     

    上記の例では、遅くとも、平成27年4月15日までにお金を支払わなければならず、その日を過ぎてしまうと履行遅滞になってしまいます。

     

    かつて、「限り」という意味を、その日ぴったりに支払わなければならないという意味に考え、ずっとその日になるのを待っていた依頼者の方がいらっしゃいましたが、そういう意味ではなく、その日よりも早く支払う分には何ら問題がありません(相手方も早く払ってもらった方が喜ぶでしょう)。

     

    また、示談書等において、「金△△円を分割して、毎月金××万円宛支払う。」という表現もよく出てきます。ここでいう「宛」は「ずつ」と読みます。文字通り、毎月××万円ずつ支払うという意味です。「あて」とは読みませんのでご注意下さい。

    近時、ある消費者金融から送られてきた合意書の中に、ひらがなで「毎月金××円あて支払う。」と書いてあって、苦笑したことがありました。

     

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    2015.04.06

    よくある質問⑦ 報酬金はどのような場合に支払う必要がありますか?

    示談や和解が成立したり、判決が確定するなど、事件が解決したときに、その成功の程度に応じてお支払いいただくことになります。

     

    時々、第一審で勝訴し、相手方から控訴され、控訴審でも勝訴した場合には、第一審と控訴審とで、それぞれ判決が出た段階で報酬金を二回支払う必要があるのかといった質問を受けることがありますが、そのようなことはありません。報酬金は、紛争が終局的に解決した場合、最後に一回だけお支払いいただければ足ります。

     

    また、相手方(被告)に対し、金銭を請求する事件の場合、私は、実際に相手方から金銭を回収できたときに、実際に回収できた額に応じて報酬金をいただく形にしています。

     

    本来、相手方から実際に回収できるか否かということは報酬金の発生とは関係なく、和解成立時ないし判決確定時に報酬金を請求する法律事務所も存在しますが、勝訴等しても、相手方から回収できないのであれば、判決書等は絵に描いた餅に過ぎず、依頼者の方が弁護士費用をかけた分、損をして終わってしまうことになります。

    それでは、依頼者の方の利益になりませんので、私は、報酬金については、実際に回収できた額に応じていただくことにしております。

     

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  • cat6

    2015.04.06

    よくある質問⑥ 一審から引き続き、控訴審についても委任した場合、別途、控訴審の着手金を支払う必要がありますか?

    はい。事件の委任は審級ごとになりますので、別途、控訴審の着手金をお支払いいただいております。

     

    もっとも、例えば、第一審の着手金が60万円であった場合、控訴審の着手金としては、その2分の1とし、30万円をご請求させていただいております。

     

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    2015.04.06

    よくある質問⑤ 交渉事件から引き続き訴訟事件を委任した場合、追加で、着手金を支払う必要がありますか?

    はい。追加で、訴訟事件の着手金をお支払いただいております。

    但し、その場合、着手金の計算は次のようになります。

     

    例えば、訴訟事件の着手金としては60万円が相当な事案について、訴訟提起前にまずは交渉事件として受任する場合、私は、その3分の2である40万円を交渉事件の着手金としてご請求させていただいておりますが、その後、交渉では解決せず、引き続き訴訟提起することになった場合には、追加で、訴訟事件の着手金として、本来の訴訟事件の着手金相当額との差額である20万円をご請求させていただいております。

     

    上記例の場合、本来は、訴訟提起前に交渉をする分、弁護士としては手間暇がかかりますので、追加の訴訟事件の着手金として、60万円の2分の1である30万円を請求する法律事務所が多いと思料しますが、それでは最初から訴訟事件として依頼する場合に比べ、依頼者の方にとって割高になってしまいますので、私は、原則として、上記のように差額をご請求させていただく運用にしております。

     

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